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スペイン・サンチャゴ巡礼の旅 NO4

 <バル(Bar)>(以下、お金は当時、1ユーロ、135円)

 まちや村には、たいてい、バル(Bar)があり、これに寄るのが旅の魅力のひとつである。小さな飲み屋兼喫茶店と言えようか。地元の人達のたまり場になっていて、昼は、老人達がビールを飲みながら雑談したり、賭け事のトランプをしており、夜は、旅人も含めて、近所のおじさん達や家族連れの交流の場兼飲み屋になる。

 トルティーヤ(スペイン風オムレツ。これは無いバルがある)やボカディージョ(細長くて固いフランスパンにハムやトマトをはさんだサンドイッチ)、クロワッサンなどの軽食がとれるので、薄暗い早朝の6-7時頃に歩き始める巡礼者の多くは、このバルで朝食をとり、また、歩く途中の休憩の場として利用する(なお、日の出は8時頃。日の入りは22時頃)。

 バルは千差万別。数坪しかない村のバルでのこと。午前中なのに主人が釣りに来た客とワインを飲んでおり、やってきた村人がカウンターに1ユーロ置くと、自分が持っているビンからワインを一杯注いでやるという光景が見られた。

 また、村の中、薄暗い石造りのお城のようなバルには哀愁を帯びたスペイン音楽が流れる。立ち去りがたい感じ。隣りに座る中年のイギリス女性に「ナイス・ミュージック」と声をかけるとうなずいていた。一方、国道沿いの、奥にレストランを併設するきれいなバルに入ると、靴を脱ぐことおことわりの写真が張ってある。脱ぐと巡礼者の足がひどく臭うからだ。バルに入ってホット一息つき、靴と靴下を脱いでくつろいでいたら、ウエイトレスがやってきて、写真を指差し注意された。

<アルベルゲとは>

 アルベルゲとは、巡礼路沿いに10-20km置きにある無料に近い宿泊施設である。たいていは、教会の中やその隣りにあるが、学校の体育館や5階建ての神学校の一部、あるいは、地域で建てた独立の建物などのこともあり、小さな宿屋がアルベルゲとしての許可を取り、民営で運営しているものもある。また、普通は同じ地域に一つだが、二つのこともある。

 宿泊費は無料か、せいぜい3-6ユーロ(個人営では10ユーロ前後)。公共や教会のものは、地域の人達や他の地から希望してやってきた人達-たとえば、2回歩いたので、今度はボランティアのためだけでやってきた人、そのまちが気に入って、しばらくとどまり、ついでにボランティアをやる人など-が、無報酬で運営している。

 部屋の中には鉄パイプ製や木製の2段ベッドが並んでおり、上に乗るとギシギシゆれる。また、マットは古く、中央が人型に落込んでいるものもある。定員は50-100人。サンチャゴやその4km手前のモンテ・デ・ゴソのアルベルゲは約500人。毎晩、ほぼ満員となり、冷たい床に寝かされたり、断られて4km先のアルベルゲまで歩かされたりすることもある。逆に、まちに2軒あるうちの、民営のほうに行ってみると、空いていて客が4人などということもあった。

その他、

☆ シャワー

 シャワーは必ずあるが、お湯がでるアルベルゲは半分位。水だけのところも多い。

☆ 自炊用のキッチン

 自炊用のキッチンが必ずあり、経費節約のため、近くのコンビニで材料を買い、手作りで夕食をとるグループがかなりある。

☆ 宿

 宿に着くと、まずはシャワー、次いで洗濯。その後は、昼寝をする人、バルに出かける人、まちの見物に行く人など、それぞれ。宿の庭は干した洗濯物で満杯となる。

☆ 注意

 注意したいのは、受付時間がまちまちのこと。受付開始が午後3時とか、5時とかで、到着しても入れないことがある。一方、11時半や1時というところもあり、いつでも自由に入れるアルベルゲもある。

 私はこのアルベルゲに25泊したが、日本から行く年配の人の中には、「落ち着かない、眠れない、疲れがとれない」という理由で、ホテルやホステルの利用を中心とし、他に宿がないといった、やむをえないときにだけアルベルゲを利用する人もいた。

 でも、アルベルゲには大きな魅力がある。それは、同宿の人達とすぐに仲良くなれること。前述したように、もともと、カミーノを行く人達は仲間意識が強いが、同宿となれば格別である。

 バルで休憩の時や、まちを散歩の時に会えば、必ず手を挙げて声を掛けてくるし、サンチャゴで再会でもすれば「よくやった、よくやった」と、肩を抱き合い、たたきあい、完走を祝福し合う。大都市ブルゴスで知人(前述のスペイン在住の日本人夫妻)と歩いていたときのことだが、前日まで数泊を共にした拾数人の一団にぱったり出会うと、全員に取り巻かれ「たけし、たけし」と肩をたたかれ、とてもうれしかった。

 さて、印象に残ったアルベルゲの第一は、イラゴ山中の廃村・マンハリンのアルベルゲ。大きな赤と黄色の旗がひるがえり、元牧師だったといわれる中年の男性が管理している。

 この人、扉に「午後6時から受付」と張り紙をして、旅人が何人到着しようと、薄暗い小屋の中で寝ており、起きて来ない。標高1500m、6時ともなれば寒くなるが、他に店はないので旅人は外で待つしかない。やっと起きてきて受付。

 小屋に入ると、垂直のはしごを上った、昼でも真っ暗な天井裏が宿泊場所。頭がつかえそうな板敷きの上にマットが10枚ほど並ぶ。食事は彼の手作り。店のない廃村なので、どんなに腹が空いても、その出来上がりを待つしかない。野菜入りスパゲッティが宿泊者11人にふるまわれたのは9時過ぎだった。

 この間、彼はほとんどしゃべらないので、いつ食べられるのかは誰にも分からない。シャワーなし。トイレなし。また、犬はもちろん、馬も放し飼い。夕方、道の向こうから大きな動物がやってきたので、びっくりしていると、それは馬。誰の指図も受けずに目の前の馬小屋に子馬を連れて入っていった。おとぎの国に迷い込んだような感じである。

 彼は変人として有名とあとで聞いたが、山中を通る旅人や宿泊者に無料で暖かい飲物や食事を提供している信念の人でもあるようだ。

 その他、気に入ったのは、教会の祭壇の前に1段ベッドをいくつか並べたアルベルゲ。隣りにあるアルベルゲが満員のときの、臨時のもの。パンプローナから4km先のシツル・メノーにある。教会の高い天井と祭壇を見ながら眠りに付いたが、気持が落着くので、ぐっすり眠れた。また、教会そのものも、赤い旗を掲げて、遠くから見るとお城のようにカッコよかった。

 プエンテ・ラ・レイナの第二アルベルゲは広々とした清潔な体育館。シャワー室もピカピカ。これも気に入った。広いレストランも併設されており、夜はそこで11時頃まで、スペインのおじさん4人が麻雀に似たスペインのゲームに熱中していたのを思い出す。

 民営のアルベルゲには2回泊った。一つはロス・アルコスの小さな食料品店の2階。客は、ドイツのおじさん(64歳で、45歳の奥さんと10歳・6歳の子供がいるという)とスペインのOL、日本のお嬢さん(エステリヤで会った人が傷を直して追いついてきた)の4人だけ。

 4人でテーブルを囲み、日本語・スペイン語辞典とドイツ語・スペイン語辞典を交互に引いて、まだるっこしい会話を楽しみながら、豆とにんじんのサラダ、スパゲッティ、果物という6ユーロの夕食を食べた。

<その他の宿泊施設>

 その他の宿泊施設としてはホステルがあり(大きなまちにはホテルもある)、旅の疲れを癒したいときに利用できる。これらには最高の五つ星から、最低の一つ星までのランクがあるが、私が泊まったのは、ホテルに6回(最初のパンプローナと最後のマドリッドを含む。二つ星から四つ星のもの。シングルで35-50-90ユーロ前後)、ホステルに5回(最後にバスで行ったフィニステレとラ・コルーニャを含む。すべて一つ星。シングルで15-25ユーロ)である。

 ホテルでは、値段は高いがパラドールがおすすめ。私も行く前から、一度は泊りたいとあこがれていた。「パラドール」とはスペイン全土に85軒ある国営のホテルで、どこもお城や修道院などを改装した中世風の豪華なもの。道中には3つあったが、シングルの宿泊代は、サンチャゴの五つ星パラドールが133ユーロ、レオン・五つ星が108ユーロ、サント・ドミンゴ・デ・ラ・カルサーダ・四つ星が89ユーロだった(ただし、シングルは不利で、二人で泊ってもほとんど同額)。

 私はサント・ドミンゴ・デ・ラ・カルサーダで泊った。また、サンチャゴとレオンは値段が高いので迷ったが、結局あきらめて、内部の豪華さを一目見るためにお茶だけを飲みに行った。

 ホステルは、アルベルゲがなかったバルカロス村とブルゲーテ村で利用。また、タルダホスでは10ユーロの宿(ホステルの看板はない。無許可?)に泊った。そこは国道沿いのバルの3階にある。

 12時過ぎに村に着いたが、アルベルゲの受付開始は3時半とのこと。かんかん照りの暑い屋外で待つのはやりきれないので、村の人に聞いたところ、教えてくれたのだ。

 大都市のラ・コルーニャでも、ホステルの看板がない宿に泊った。バスを降りると、おばさんが寄ってきて25ユーロの宿があるという。荷が重くて宿を探すのがたいへんだったので、付いて行くこととした。部屋はビルが立ち並ぶ大通りにある8階建ての建物の5階。このフロアーには部屋が数室あり、私のは真ん中の薄暗い一室。高すぎると思ったが、宿代を前払いしてしまったので、あとの祭り。

 ホステルで掘出し物はマンシージャ・デ・ラス・ムラスのそれ。アルベルゲと書いてあったが、高級なホステル(宿泊料金40ユーロ)。食事ができる、しゃれた庭とレストランがあった。また、私の部屋の壁やベッド・カバーは落着いた赤の色で統一されており、ちょっと中世風な感じ。これはおすすめのホステルである。

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コメント

来春、サンティアゴの道を歩いてみようと考えている者です。
いろいろなサイトを読ませていただきながら、日程などを検討しているところです。
宿についての情報も、非常に関心があります。
「スペイン・サンチャゴ巡礼の旅 NO4」に書かれている、マンシージャ・デ・ラス・ムラスのホステルの名前は、なんというところでしょうか?
教えていただければ、是非、そこに泊まってみたいと考えています。
よろしくお願いします。

投稿: Hide | 2012年11月 5日 (月) 22時30分

当ブログを読んでいただいてありがとうございます。すいません。このホステルの名前は分かりません。

投稿: | 2012年11月21日 (水) 18時46分

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