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スペイン・サンチャゴ巡礼の旅 NO8

 <困ったこと>

 食事で困ったことは次の項で書くとして、一つは、ラ・コルーニャで宿の鍵(5階のフロアーから外に出る鍵)が開かずに、外に出られなくなったことである。

 このときは管理人が開けに来るのをしばらく待っていたが、来そうもないので、5Fの隣りの部屋で寝ていた若いスペイン女性をノックをして起こし(最初は眠そうにして部屋に戻ってしまった。
1時間後に再び起す)、身振りで苦境を訴え、2時間後に脱出することができた(別に出口があった。その女性と一緒にエレベーターで1Fに下り、スペイン語で住人と交渉してもらい、やっと外に出してもらった。この間、私は一言も喋らず、身振りだけで奮闘)。

 また、銀行が閉まっている日曜日に、手持現金がなくなったので、クレジッドカードかトラベラーズチェックでホテルに泊まろうとして、宿泊を断られたことがある。
多分、満員だったのだろう。この村(ブルゲーテ村)には、アルベルゲはないし、あとは安いホステルだけ。でもそこに泊るには現金が必要。空のさいふとトラベラーズチェックを見せて、身振りで苦境を訴えると、ホテルの主人や従業員が寄ってきて、ワイワイ言う。

 でも、何を言っているのか分からない。こちらも「私はどうしたらいいの」というスペイン語を知らないので、どうしたらよいかを聞くことができない。ややパニックに陥ったが、結局、現金払いのホステルに泊ることにした。
翌朝6時の出発を9時に延ばし、銀行が開いたらトラベラーズチェックを現金に換えて支払えばよいということに気が付いたのだ。

<とまどったこと>

 困ったというほどではないが、生活習慣の違いにとまどうことがいくつかあった。

 たとえば、銀行が早く閉まるので(大都市で午後2:30。まちでは午前中だけのことも。私が着くのは午後の3時-5時頃)、トラベラーズチェックをお金に換えることが難しく、また、銀行があってもトラベラーズチェックの両替を扱っている銀行が少なく(同じ銀行でも扱わない支店があって、時間内に着いても何軒もの銀行を回らなければならない)、現金を持っていないと、ともかく不安だった。

 買物でもとまどった。午後は(1時頃から-6時頃まで)、バルを除いて、ほとんどの店がいったんは店を閉める。そのため、宿泊地に到着しても、6時過ぎまでは食べ物が買えずに困った。初めの頃は事情が分からずに、開いている店がないかとまちの中をうろうろと歩き回ったものである。

<言葉の問題>

 私はスペイン語はできないし、英語も小学生の「かたこと」レベルである。それでも何とか、自分の意思を伝えながら旅を続けることができた。

 意思を伝えるには、英語が通じる場合は「かたこと」の英語を使い(文章にする能力はなく、知っている単語をいくつか並べただけであるが)、また、英語が通じないときはスペイン語の辞書を引いたり、簡単なスペイン語を覚えたりして、それを使った。もちろん、ジェスチャーも大いに役立った。

(その1:交流)

 まずは、巡礼路を歩く人達との会話。ほとんどのスペイン人は英語が話せないが、イギリス人やアメリカ人のほか、フランス人やドイツ人、スイス人などは英語を話せる人が多かったので、その人達とは「かたこと」の英語で話をした。

 たとえば、「どこの国の人ですか」(from where country?)、「歳はいくつですか(your age?)」、「スタートは何日ですか、どこからですか(first start when? where?)」、「巡礼に来た理由は何ですか(why camino?)」「職業は何ですか(teacher or doctor or?)-職業という英語が分からなかったので、具体的に職業を並べて聞いてみた-」といった具合である。

 また、言葉が通じなくとも態度で親愛の情を表し、多くの人達と親しくなった。道中では何度か一緒になる人がいるが、私はおじさん達に再会すると、よく、「やあ、また会いましたね」という気持を表情で示しながら、体を抱き肩をたたきあったし、青年達とも固い握手を交わした。
また、そんな中で、親しくなったスペインの2人のお嬢さんは、別れるときに私を抱いて両ほほにキッスをしてくれた。

(その2:食事)

 言葉で一番の問題は食事。
初め、バルやレストランに入るには勇気が要った。なにしろ、メニューがスペイン語なので、入っても、どうしてよいか分からない。初めの数日間は入るのが怖かった。でも、何事も前に出なければ解決しないと自分を励まし、思い切って入ることにした。

 バルの場合は、割と簡単だった。カウンターに食べ物(ボカディージョやトルティーヤのような軽食)が並んでいるので、欲しいものを指させばよいのだ。
これがレストランとなるとそうはいかず、スペイン語で注文しなければならない。初めのうちは、注文するものをあらかじめ決めておき、辞書にある単語に線を引いて注文をしていたが、そのうちに、いくつかの単語を覚えて使うようになった。

 覚えたのは、アグア・ミネラル(ミネラルウォーター)、ペケニヤとグランデ(小さい・大きい)、カフェ・ソロとカフェ・コンレチェ(ミルクなしのコーヒーとミルクたっぷりのカフェ・オレ)、テ(紅茶)、エンサラダ・ミクスタ(缶詰のフィッシュをまぶした、大皿に山盛りのサラダ。レタス、トマト中心)、ウエボス・フリトー(卵の目玉焼き)、パタタス・フリトー(フライド・ポテト)、パン(フランスパン)、トースタ、クロワサン、トルティーヤ(スペイン風オムレツ)、パエリヤ(魚介類と野菜の炊き込みごはん)、ソパ(スープ)、それに、ウノ(一つ)、シ・ノ(イエス・ノー)などである。

 このうち、ウエボス・フリトー、パタタス・フリトー、エンサラダ・ミクスタの三つは昼と夜の常食。前にも書いたが、最初の頃、体調がすぐれないときに食べたら急速に体調が回復したことがあり、それ以降はこればかりを食べるようになった。

 また、パエリヤも何回か食べたが、これがある店は店頭に日本語も入った共通のポスターが張ってあり、分かりやすかった(無い店が多い)。
ソパも何回か頼んだ。セブレイロ峠のレストランのラーメン風スープ(細いスパゲッティが入ったもの)、カルボアの村のホテルで飲んだ豆のスープ、サンチャゴのしゃれたレストランで飲んだカニの入ったスープなど、どれもたいへん美味しかった。

 このほか食べたのは、リンゴ、モモ、スモモ、バナナなどの果物。これらはコンビニで直接カウンターに持っていけばよかったので、名前は覚えなかった。

そんな中、レストランでは困ったことが何回かある。

☆ カストロヘリスのレストラン

 カストロヘリスのレストランで「ペレグリノ・メヌー」という巡礼者向けの定食セットを注文したときのことだ。
メインの食べ物はメニューの中から選ぶようになっており、ウエイトレスの若い娘さんがスペイン語で一生懸命に説明してくれるのだが、まるで分からない。

 あせっているのか、娘さんの可愛い顔は真っ赤。こちらが辞書を差し出しても、それを見ることもなく、早口で説明を続ける。メニューに書いてある単語を辞書で引いてみたが載っていない。
こんなときは、何が出てくるか分からないが、メニューを適当に指さして頼むほかない。

☆ アストルガ

 アストルガでは、こんなこともあった。レストランは午後8時に開くのが普通だが、アルベルゲの周りだと、もっと早いところもある。
あるレストランの入口に開店は7時と書いてあるので、入っていくと、ウエイトレスの娘さんがだめだという。
こちらは「7時を過ぎたよ」と時計を指すのだが、こわい顔でにらみつけて何か言う。どうしてなのか全然分からない。こんなときは、退散するしかない。

☆ ナヘラに着いた日の午後

 また、ナヘラに着いた日の午後、バル兼レストランに入ったときのことである。メニューを見たいので「メヌー」と言ったが、持ってこない。店のおばさんが何か言っている。

 数字を言っているようだ。紙に「7」の字を書いて持ってきた。「メヌー」は定食セットをも意味するので、「定食セットは7ユーロ。それを食べるか」と言われたのだと理解し、「OK」と答える。
ところが、どうも様子が変。そのあと何度かやりとりをし、やっと間違いに気がついた。「今はバルの時間でカウンターに並んだものしかない。午後7時からがレストランの時間。メニューを見せて注文をとるのはそれから」ということだったのだ。

☆ ポンフェラーダ

 ポンフェラーダでは中華料理の店を見つけた。久しぶりにごはんが食べられると勇んで入ったのだが、英語が通じない。
中国人風のウエイトレスとマスターは純粋のスペイン人のようで英語は話せないという。「ライス」というが、分からない。

 「ハポン(日本人)」と言いながら、手でご飯と茶碗の形を示すが、それでも駄目。辞書は持参しなかった。メニューの一覧を見ると「Arroz」という単語の付いたメニューがいくつか並んでいる。「Arroz」はお米かも。
白いご飯なら、一番安いやつだ。思い切ってそれを注文してみると大当たりだった。茶碗に山盛りのご飯が運ばれてきた。あとはメニューに写真入りで載っていたワンタンと肉野菜いためを注文。

(その3:その他)

☆ まちの人とすれ違うときは、覚えたてのスペイン語であいさつをした。覚えたのは、「オラ」(朝昼夜、いつでも使える挨拶のことば)、「ボナディアス」(おはよう)の二つ。

☆ また、ホテルでは英語が通じた。もっとも会話が必要なのは、「シングルで1泊いくらですか(single one-night how much?)」「電話はどこですか(telephone where?)」と聞くとき位だが。

☆ ホステルでは英語は通じない。フランスの国境を越えたバルカロスでは、宿のおばさんにスペイン語が話せないことを身振りで伝えると、「フランス語なら、どうだ」と聞かれた。この辺りは、スペイン語でなければ、フランス語という世界であり、英語は完全に圏外だった。

☆ 駅で鉄道の切符を買うときは紙に書いて示したし、バスの切符は行き先を言えば簡単に買えた。サンチャゴでは、バスセンターの切符売り場が閉まっていて、うろうろしていると、おばさんが英語のできる人のところへ連れていってくれた。バスで直接買えばよいとのことだった。

☆ また、買物のときは、買いたいものを指でさし、買いたい数を指で示す。たとえば、ハムを1ユーロ買いたいときは、ハムを指さしながら1ユーロを見せる。

果物などは自分で取って計ってもらう。自分で秤に載せ、出てきたシール(品物に付いている番号を押すと値段が記入される)を貼ってカウンターに持っていく店もある。

☆ 巡礼の道を確認するときは、「カミーノ?」とひとこと言えば、誰もが親切に教えてくれる。
ある朝、きょうは長距離を歩かねばと暗いうちから歩きだし、まちを出たところで道標を見落とした。
別の道をしばらく歩くが、次の道標が見えてこない。不安に感じていると、真っ暗な中、前方に車のヘッドライトが見えた。
手を挙げて車を止め「カミーノ?」と聞くと運転していた青年が丁寧に正しい道を教えてくれた。

 大きなトラブルがあれば困ったであろうが、たいしたトラブルがなかったので、まあ、何とか言葉の問題はクリヤーできた。
それと言葉の問題である程度安心して旅が出来たのは、先に述べたような事前の準備(西和・和西辞書を持参したこと。

 次いで、知人からスペイン在住の日本の人を紹介してもらったこと。また、言葉が通じず、旅をすることがむずかしければ、すぐに帰ってくることとし、航空券は帰りの便が変更可能なものとしたこと)が背景にあったからである。

<思い出・その他>

☆ 名刺

 名刺代わりに、自分と家族を写した写真のカラーコピー(B5版)を20枚、白黒コピーを30枚ほど持参。自分の年令、語学の程度、登山の経歴(マッキンリー、キリマンジャロ、富士山などに登ったこと)、趣味、家族構成などもスペイン語で書き入れた。

道中で仲良くなった数十人の人達にこれを配ったが、話題作りにはたいへん役に立った。

また、後日、この名刺を見たという人にも何人か会い、巡礼をする人達の間で話題になっていることを知った。

☆ 写真

 撮った写真は約1000枚。初めは景色を撮るのに夢中だったが、数日すると関心はもっぱら「人」に移った。巡礼をする人、村の老人、かわいい子供達などである。
これらの人を前から写すときは必ず承諾を得て撮った。

 「三銃士」のダルタニアン風の青年が目に付いたので、一枚撮った。でも、背が高くて、金髪を垂らし、青い目のキリストのような雰囲気を持つ青年については、何とか撮りたいと思ったが、機会がなくて、とうとう撮り損ねてしまった。

 写真機は2度買換えた。午後の酷暑の中を持ち歩いたせいか、日本から持参した小型で高価な写真機が数日で壊れ、韓国・サムスン社製の安いものを買った。
しかし、これも壊れ、再度日本製のものを購入。これも、フィルムを押さえるピンがはずれたが、自分で直した。写真機が何度も壊れるなんて珍しいことである。

☆ 天気

 通り雨に数回出遭っただけで、天候には恵まれた。大西洋に近いサンチャゴを含むガリシア地方は雨が多いところと聞いたが-雨で霞むサンチャゴの風景は有名-、そこでも雨に遭わなかった。運が良かったのだろう。

 逆に、太陽の日差しがたいへん暑かった。午後は10分も帽子なしで歩けば倒れてしまうような感じ。サングラスも眩しさを防ぐのに役立った。
また、日没は午後10時頃なので、8時頃までは西日が暑く、町を散歩するときは日陰を選んで歩いた。6月というのにこの暑さ。ヨーロッパを襲った熱波の影響かもしれない。

☆ 電話

 我が家へはほぼ2日おきに電話。また、人見さんにも数日おきに電話をして状況を伝えた。一緒に行けなかった小林さんにも数回電話。六つ星の人や友人の尾幡にも1-2回電話した。

 利用したのは主にKDDIの国際テレホンカード(成田で購入)。カードの表面を削って出た番号をダイヤルすれば繋がった。カードを差込む必要はなくて、受話器をはずしダイヤルするだけでよい。

 コインでも電話をしたが、電話機が壊れていて掛からないのにコインを飲込まれたり、留守電に掛かってコインを損したりと、やや不便だった。

行く前にレンタルで携帯電話を持参することを検討したが、これは高くてやめにした。

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