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スペイン・サンチャゴ巡礼の旅 NO1

 スペイン・サンチャゴ巡礼の旅

-800kmを歩く-

サンチャゴ巡礼の写真集を最初に見る場合は以下のURLをクリックしてください。
http://picasaweb.google.co.jp/yamazakijirou/2046?authkey=KutzZ8mqkJQ



<はじめに>

 キリストの弟子・聖ヤコブ(スペイン名・サンチャゴ)の墓がある聖都・サンチャゴを目指して、スペイン北部を東から西へと約800km、徒歩で横断する巡礼の旅が日本でも知られるようになった。昨年はNHKテレビが「地球に好奇心」や「地球に乾杯」という番組で取り上げ、ことしはTBSテレビが「世界ふしぎ発見」で取り上げた。

 中世のキリスト教信者が歩いた道と町がそのままに残る-そんな異国の地を長期間歩く旅は、ツアーでの海外旅行に飽き足りない人達には、たいへん魅力的であり、我が国でも行きたいという人が増えているように思う。
 
 私もそんな魅力に捕えられ、サンチャゴ巡礼に出かけた一人である。成田出発は2003年6月26日、帰国は8月4日。歩いたのは32日間。1日も休まずに歩き続けて、800kmを歩き通した。

 これはそのときの記録である。自分の思い出をできるだけ詳しく記録として残すことと、これから行く人に参考資料を提供することの二つを念頭に置きながら書いてみた。

<行こうと思う-サンチャゴ巡礼はマッキンリー登山に続く私の夢>

 私の夢はこれまで登山にあった。

 人が山に求めるものはさまざまであろう。雄大な自然を求めて、あるいは里山のどこか懐かしい雰囲気を求めて山に入る人がいる。
また、未知の世界を歩きたい、絵を描きたい、写真を撮りたい、あるいは仲間との語らいを楽しみたい、瞑想にふけりたい-といった思いの人もいる。でも、山の懐(ふところ)は限りなく広く、それらのすべてが満たされる。そこには、人それぞれの山の楽しみ方があり、どれが最高で、どれが最低といった価値の上下はない。

 そんな中で私が登山に求めたのは、「挑戦」の対象としてだった。
自分のレベルぎりぎりの山にチャレンジすることは、人の心をリフレッシュさせる。力の限界に挑み、困難を乗り越えて何かをやりとげようとすること、それは人の心を夢で満たし、わくわくさせる。

 人生には、会社組織の歯車の一つに組み込まれて自分の努力の結果が見えないものや、先の見通しがないままに何年も粘り続けなければならないものがあるが、登山や冒険旅行では、自分の努力が成功に直接結びつくし、がんばる期間が限られていて、終わった後には快い休息が待っている。

 私が登山に集中したのはこの20年間である。ほとんどが単独登山。初めは経験が浅いために、どの山も自分の力で大丈夫かと不安で、行く前はドキドキしたものである。

 まずは百名山。それがほぼ終わると、少しずつレベルを上げていった。国内登山では、栂海新道(北アルプス・旭岳-親不知)、黒部・下の廊下、ジャンダルム、南アルプスや北アルプスの全山縦走(以上、単独行)、槍ガ岳の北鎌尾根(ガイド付き)、熊野-吉野・修験者が行く山岳道の縦走(友人と2人で)というように。

 また、海外登山では、モンブラン、次いでキリマンジャロ、南米のアコンカグア、更にアラスカのマッキンリーに挑戦した(キリマンジャロ、マッキンリーは登頂に成功)。

(なお、海外登山には、お金と休暇と健康、それに家族の了解が必要であるが、私の場合は何とかその条件を満たすことができた。今、振り返ると、日本には、登れる力が充分あるのに行けないという人が数多くいる中で、たいへんに恵まれていたと思う。そんな人のことを考えると、海外登山の話を得意げにするのはチョッピリうしろめたい気もするのだが)。

 ところで、マッキンリーに行ったのは1996年(58歳)。次のチャレンジ対象として、初めは、8000m峰か、せめて7000m以上の山に登れないかと模索し海外登山の専門家にも相談したが、経費がかなり掛かりそうなこと、体力が衰えてきたことなどがあって、あきらめざるをえなかった。

 登山対象をレベルアップしていくことは難しい、それならウォーキングで何かないだろうか、-そんな思いの中で、1年程前にNHKのテレビ<地球に好奇心>「千年の道(カミーノ)・祈りの旅-スペイン・サンチャゴ巡礼」(2002年10月5日、BS2で放映。2002年11月3日、総合テレビで再放映。
その後、「地球に乾杯」でも放映)を見て、「行けたら、いいな」と思うようになり、山の仲間と話しているうちにそれが具体化した。

 ただし、一緒に行く予定だった友人2人は急に行けなくなった。3人で玉川上水(1月22日)や荒川の土手(2月4日)を歩くなどして、着々と準備を進め、また、航空券の手配も終わっていたのだが-。

 さあどうする。英会話がほとんどできず、これまでのフリーの海外旅行では、会話のできる娘や息子のあとを付いて歩いていた。今回も、一緒に行く友人が英語に堪能なので、安心して付いていくつもりだった。それが、一人で行くとすれば、ツアーに参加しないで一人だけで行く、初めての海外旅行となる。

ツアーに参加しないで海外に一人で行くのは初めてのことになる。
延期をするか。でも、延期をしても、それぞれに都合があり、3人が日程を合わせて行けるかどうか。
一方、介護をしている母を40日間、老人施設に預ける手続は済んでいる。延期をした場合、施設の収容人員に余裕がないので、再度スムーズに希望の日を予約できるかどうか分からない。今が絶好のチャンスかもしれない。

 また、一人旅への魅力もある。人に付いて歩く旅には緊張感がない。いざとなれば、頼れる人がいるからだ。一人旅だと、言葉が分からない中で全てをやらなければならず、未知の旅、ドキドキする旅といった魅力が強烈にあり、引きつけられる。

母の介護疲れを吹き飛ばすためにも、行こうと決心した。

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