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スペイン・サンチャゴ巡礼の旅 NO5

<なぜ歩くのか>

 ところで、みんな、なぜこの道を歩くのであろう。中世は「信仰」ひとすじの人が多かったと思われるが、現代ではどうか。何人かの欧米人に聞いてみた(もっとも英語の「かたこと」で通じる範囲であるが)。精神的な何かを求めて-、森の中を歩きたいから-、人とのふれあいが楽しいから-、仲間との旅が楽しいから-などなど。若者の中には、「完走すれば就職に有利」という者もいた。信仰だけではないようだ。

 一緒に歩いてみた感じでは、家族や友人と「旅を楽しむ」といった雰囲気がとても強く、一人旅の人も、道中でいろいろな人と親しくなり、会話を楽しんでいた。

 信仰という点では、教会の夕べのミサに出席するのは巡礼者の1-2割程度のようである。もっとも、レオンのアルベルゲでは、アルベルゲを管理している教会のミサへの出席が宿泊者の義務になっており、ほぼ全員が出席した(これには私も出席。約40分間の、尼僧の説教と神への祈りは初めて体験だった)。

 また、到着直前のパラス・ド・レイで教会見物に出かけたときのことだが、丁度ミサの最中で、「はるばるここまでやって来た」という感激からであろうか、巡礼者の中に、涙ぐむ娘さんやそっと涙をぬぐうおじいさんが見かけられ、庶民の信仰が息づいているのを感じた。

<カミーノの最大の魅力>

 カミーノの最大の魅力は、知らない人達と仲良くなれることにある。歩いている人達は皆仲間という感じで、目が合えば、お互いにニッコリとほほえみ合い、言葉をかけ合う。「オラ」(いつでも、どこでも使えるあいさつの言葉)、「ボノデアス」(おはよう)、「ボン・カミーノ」(良い旅を)など。そして、数日一緒に歩けば、もう友達のようになる。

 バルセロナの、いかにもスペイン人といった、たくましいおじさん。マジョルカ島の2人連れのお嬢さん。2人の女の子と夫婦の家族連れ(ご主人は娘が可愛くてしかたがないといった様子。下の子に5円玉をあげたら、ご主人が自家製のチーズをくれた)。

 ワイマールから歩いてきたというドイツの青年(あるとき、ベッドが隣り合わせになる。3月20日がスタートという。もう、3ヶ月も歩いているのだ)。

 ロザリオをくれたウィーンの若い女性(イスラエルから取寄せたもの。彼女は彩色のロザリオを持っており、私にくれた無地のものは男性用という)。

 地中海のニースから歩いてきたというフランス人。歩くのは5回目という73歳のドイツのおじいさん。荷が重過ぎると忠告してくれた35歳のアメリカ人教師。サン・ジャン・ピエド・ポーで偶然一緒になり歩いてきたというイギリスとカナダの4人連れの青年。

 いつもあれこれと教えてくれた、信心深いスペインの中年の男性(薄暗い教会にたった一人でうずくまり祈っているのを何回か見かけた)。同じまちの仲間6人(男子3人、女子3人)でやってきた、少しだけ日本語のできる17歳のドイツ少年。自転車でオランダからやってきた56歳の医師(ロ-マも往復したという)など、など。

 日本人にも20人位に会った。
小学生の男の子2人を連れて、タクシーを使いながら主要なところは歩いてきた若いお母さん(アルベルゲや、ホステルで、偶然にも何回か一緒になり、サンチャゴ到着前日のアルベルゲでは、コンビニで材料を仕入れて、同宿の人達がうらやましがるような、タラコのスパゲッティや野菜スープなど、豪華な夕食を作ってご馳走してくれた。

 マッキンリーの話をしたときに上の子が瞳を輝かせながら聞いていたのを思い出す。また、下の子で思い出すのはアルベルゲの庭で漢字の練習をしていた姿)。

 こんなところに2度と来たくないと思ったはずなのに、数年が経つと、どうしても来たくなったという2回目の青年(24歳。ポルトマリンで会う。勤務先が不景気で人員整理があり、それに応募したもよう。お金がなくて、無銭旅行に近い。ここのアルベルゲは無料なので-普通は3-5ユーロ-、宿泊費が節約できて、とてもうれしいと言っていた)。

 外資系企業勤めで、1ケ月の休暇をとってやってきた25歳の青年(数ヶ月前にテレビで放映された「世界ふしぎ発見」の「サンチャゴ巡礼」を見て、急に来る気になったという)。

 トルコからパンプローナへ牛追い祭を見に来て、ついでに歩いているという、世界を放浪中の青年(着替えも雨具も持たず、ザックの重さは1kg程度。軽装でヒョウヒョウと歩いていた。足取りはたいへん軽い。一休みする都度、夏用の薄い上着を乾かし、夜はそのまま寝るという。寝るとき寒ければ周りのものを体に乗せるし、雨が降ったら村まで走るという。私がスペイン西端のまち、フィニステレにサンチャゴからバスで行ったら、彼はすでに徒歩で到着しており-サンチャゴから3日の歩程-、浜辺で夕日が大西洋に沈むのを見るようにと教えてくれた)。

 巡礼後、フィニステレが気に入り、7ケ月間、アルベルゲの管理を手伝っているという青年。
 四国巡礼でカミーノを知り、やってきたという自由業のおじさん(一緒に写真をといったら、肖像権があるからと断られた)。
 キリスト教信者として一度は歩きたいとやってきたが、ひざを痛めてエステラのアルベルゲで停滞していたお嬢さん(ロス・アルゴスのアルベルゲで再会)。

 やはりまめを作ってナヘラのアルベルゲで停滞していたお嬢さん。サンチャゴの駅でバッタリ出合った72歳の女性など、など。  
 日本人は、親子で歩いていた若いお母さんを除いてはすべて一人旅だった。
   

<会話ができて、ワインが飲めれば、もっとよかった>

 多くの人達と親しくなった。でも、スペイン語や英語ができて、更にワインが飲めれば、もっと親しくなれたであろう。旅は数倍楽しくなったはずだ。

 スペインはワインの産地。特にログローニョ周辺のリオハ地方のワインは有名。アルベルゲに着いた旅人は、家族や友人はもちろん、旅で知り合った人も誘ってバルに出かける。ワインを飲みながらの談笑。でも、飲めない私は誘われても、なかなかその輪にとけこめなかった。

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